開業届は出さなくてよい?フリーランスの開業届について解説

開業届は出さなくてよい?フリーランスの開業届について解説 お金のはなし

フリーランスのとして活動を開始するにあたって考えるのは「開業届はどうするのか」

ではないでしょうか。

本記事では、

  • 開業届とは何か
  • 開業届を出すメリット
  • 開業届の書き方、提出方法や提出先

について解説します。

この記事を読めば、開業届を出すべき理由がわかりますよ。

開業届とは?

開業届とは、開業した事実を税務署に報告する書類です。正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。開業届は出さなくてよいと考えている方もいらっしゃいますが、開業届の提出は所得税法で義務付けられています。

よって、「開業届は出さなければならない」のです。ただし、提出しなかったことに対して罰則はありませんし、期限に遅れても税務署から連絡が来ることはありません。

ただ、罰則がないから提出しなくてよいということではありませんので、フリーランスとして活動をスタートしたなら開業届を税務署に提出しましょう。

開業届を出すメリット

法律で義務付けられている開業届の提出。出すことにメリットがあるのです。ご紹介していきます。

青色申告ができる

申告には白色申告と青色申告があります。青色申告は、最大65万円の控除が受けられたり、3年間の赤字繰越しができたりと税制上のメリットが多いのが特徴です。青色申告を選択する場合「青色申告の承認申請書」を提出する必要がありますが、開業届の提出がなければ青色申告の申請はできません。

確定申告は青色申告がおすすめですので、忘れず開業届を提出しましょう。

フリーランスの自覚を生む

あくまで意識の問題ですが、「私はフリーランスになったのだ」という自覚を持つことができます。フリーランスになれば、誰も指示をしてくれないので、仕事を受注できるかはすべて自分の責任になります。すべて自分で考えて活動していかなければいけないので、気持ちの区切りをつけるという意味で有効です。

屋号付き銀行口座が作れる

屋号付きの事業用銀行口座をつくる際には、開業届の控えを必要とするケースがほとんどです。屋号付きの銀行口座を作成した方が、クライアントからの信頼を得られるので、個人名の口座を使うよりメリットがあります。屋号で活動する場合には、屋号付き銀行口座を作成した方がいいと言えるでしょう。

小規模企業共済に入れる

開業届を提出すると、フリーランスの味方「小規模企業共済」に初年度から加入できます。小規模企業共済とは、廃業時に会社員の退職金のように給付金が支払われる制度です。月々1,000円〜70,000円まで掛けることができ、毎月の掛け金は全額所得控除になります。

小規模企業共済への加入は、確定申告の写しを提出する必要があります。ただし、フリーランスになった初年度に加入したいのであれば開業届の写しが必要なのです。

節税効果がある上に将来への備えもできるので、将来を不安に感じがちなフリーランスには、入って損はない制度です。

参照:中小機構

独立行政法人 中小企業基盤整備機構
中小機構は、中小企業政策の実施機関として、成長ステージや経営課題に応じた支援メニューで中小企業の成長をサポートします。

就労証明になる

保育園の入園申請や、学童の入園手続きなどで保護者の就労状況を証明する書類が必要になることがあります。会社員であれば、お勤め先で就労証明書を作成してもらえばすむのですが、フリーランスは自分で証明するしかありません。

フリーランスが就労状況を証明するために、自治体によっては就労状況を申告する書類とあわせて開業届の控えを求められることがあります。フリーランスにとって、開業届は非常に大切な届出書なのです。

開業届を提出するデメリット

開業届は提出が義務付けられていますが、提出するタイミングによってはデメリットが生じる場合もあります。

失業手当が受けられない

フリーランスになるにあたって会社を退職した場合、失業手当を受け取ることができます。失業手当は次の仕事が見つかるまでの生活費として支給されるものなので、開業届を提出すると「失業状態」ではないとみなされ失業手当が受け取れなくなっしまいます。

開業届を出すタイミングには注意が必要です。

扶養からはずれてしまう場合がある

配偶者の扶養に入っている場合、開業届を出すと扶養から外れてしまうケースがあります。会社の健康保険組合によって扶養を外れる定義が異なりますので、配偶者のお勤め先に事前に確認しておく必要があるでしょう。もし扶養を外れた場合、ご自身で健康保険料を納付する必要があります

開業届の書き方

開業届の書き方

① 税務署 

通常は住所地を所轄する税務署名を記載します。所轄の税務署がわからない方は、国税庁のホームページで調べることができます。

② 提出日 

税務署に提出する日を記載します。

③ 納税地 

原則納税地は住所地になります。別で事務所等を設置している場合は、事務所の所在地を納税地にすることが可能です。

④ 氏名・フリガナ 

フリーランス本人の氏名、フリガナを記載します。

⑤ 生年月日 

本人の生年月日を記載します。

⑥ 個人番号 

本人のマイナンバーを記載します。なお個人情報保護の観点から、控えにはマイナンバーは記載しないようにしてください。

⑦ 職業

漫画家、Webデザイナー、ライターなど対外的に名乗る職業を記載します。記載に迷った場合は、「日本標準職業分類」を参考にしてください。

参照:総務省

総務省|統計基準等|日本標準職業分類(平成21年12月統計基準設定) 分類項目名

⑧ 屋号 

事務所の名前やペンネーム等を記載します。

⑨届出の区分 

開業にチェックします。

⑩ 所得の種類 

事業所得にチェックします。

⑪ 開業・廃業等日 

フリーランスとして活動し始めた日を記載します。

⑫⑬ 開業・廃業等に伴う届出書の提出の有無 

青色申請を提出する場合は、有にチェック 

消費税に関しては通常届出しないので無にチェックしてください。

⑭ 事業の概要 

自身のお仕事内容について記載します。個人事業税の課税非課税が変わってくる可能性がありますので、できるだけ詳細に記載しましょう。

⑮ 給与等の支払の状況 

青色事業専従者や従業員を雇うのであれば、人数等を記載します。なお、こちらに従業員を雇用していることを記載すれば、「開設届」は提出しなくてよいこととされています。

⑯源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無 

納期特例を申請する場合は有にチェックし、従業員にお給料を支払う日を記載します。

開業届の提出先と提出方法

提出は開業後1か月以内となっていますので、フリーランスになったら早めに出しましょう。

提出方法については以下の3種類あります。

①税務署の窓口に持参

②郵送

③e-Tax

どの提出方法でも構わないのですが、今後のためにご自身の控えを作成し、保管をしておいてください。①の場合、持参したその場で控えに税務署の収受印を押してもらえます。

②の場合は、提出用と控え用の2部を返信用封筒(切手を貼ったもの)とあわせて封筒に入れて税務署に郵送することで、後日控えを返信してもらえます。

③のe-Taxは、国税庁の電子申告・納税システムの名前です。税務署へ行く必要もなく、非常に便利なシステムなので利用されている方も多いのですが、先に利用者識別番号取得したり、電子証明書を取得したりと準備が必要になります。お急ぎの方は、①または②の方法で提出されることをお勧めします。

まとめ

開業届はフリーランスに必須の届出書です。提出しなくても罰則はありませんが、青色申告ができたり、フリーランスとしての自覚を持てたりとメリットが多いので提出した方がいいといえるでしょう。提出期限は独立して1ヶ月以内なので、わからない点があれば、税務署や税理士に相談し遅れないように提出しましょう。

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