生きていくために欠かせない「お金」。「お金の教育」が必要なのはなんとなくわかっていても、必要な理由が明確になっている人は少ないのではないでしょうか。日本では昔からお金の話は「恥ずかしい」「はしたない」などといって避けられてきた結果、平均的に金融リテラシーの低い人が多い状態となっています。
そのような状況を脱すべく、2022年度から実施される高校の新学習指導要綱では「投資教育」が盛り込まれました。お金の教育はいつから、どのように始めるのがベターなのか、実際に筆者が娘に行っているお金の教育にもふれながらお話ししていきます。
子どもにお金の教育が必要な理由2つ
お金の教育が必要な理由を2つ見ていきましょう。
公的なお金の教育が少ない
先にも書いたとおり、高校では「金融教育」が実施されることとなっています。しかしながら、小学校や中学校では「お金の教育」が行われることはほぼありません。
ここで海外の「お金の教育」事情を見てみると、イギリスでは「シチズンシップ」とよばれる金融教育が義務教育のカリキュラムに組み込まれ、貨幣の役割や金融商品についてしっかりと学べる仕組みができています。またオーストラリアでは国をあげて金融リテラシーをあげるようなカリキュラムを作成し、数学の授業内で金融について学ぶ機会が設けられている状況です。
日本の金融教育は、世界の先進各国にかなり後れをとっているといえるでしょう。
参照:「イギリスにおける金融教育」 北海道教育大学釧路校家庭科教育研究室 鎌田 浩子
http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/7929/1/kusiroron-47-04.pdf
参照:「オーストラリアの国家金融リテラシー戦略」野村 亜紀子
http://www.nicmr.com/nicmr/report/repo/2014/2014win02.pdf
超高齢化社会になる未来を見据えて
総務省の資料より、2000年には約1億2,000万人だった日本の人口は、2050年には約9,000万人に減少すると推測されています。約3,000万人の減少です。また、高齢化率は19.6%から39.6%に上昇。2050年はおおよそ2.5人に1人が高齢者となります。
参照:総務省 「我が国における総人口の長期的推移」https://www.soumu.go.jp/main_content/000273900.pdf
今後さらに人口減少かつ超高齢化していく日本において、公的なお金に頼ることは難しいと考えられるため、老後資金は自己管理で貯めておく必要があるでしょう。そのためには、若いころからの資産形成が非常に重要です。金融リテラシーを身につけ、お金に対する正しい判断ができるようになるべきであると考えられます。
いつから始める? マネー教育を始めるのにベターなタイミング
お金の教育はできるだけ早い段階で始めるのがよいとされています。子どもの個性によっても違うかもしれませんが、遊びをとおして学べる就学前に始めるとスムーズでしょう。
筆者は娘に4歳からお金の教育を始めました。とはいえ、まだまだお金の価値がわからない年齢なので、お買いものに連れていって商品を手に入れるにはお金が必要であることを学んだり、お手伝いをしたらお小遣いをあげることで労働の対価としてお金が得られることを教えたりしていました。
現在ではお会計への興味が深まっており、早くからお金の教育を取り入れてよかったと実感しているところです。早い段階でお金の教育を取り入れ、子どもの金融リテラシーをあげる家庭教育をすることが何より大切なのではと考えています。
未就学児にも有効!マネーリテラシーをあげるための教育とは?
公的な教育では金融リテラシーをあげられないため、家庭での金融教育が重要であることは先に書いたとおりです。ここからは、金融リテラシーを上げるために必要な教育について紹介します。
お金やものを与えすぎない
お金を与えれば与えるほど「子どもは弱くなる」といわれています。それは、考えたり判断したりしなくても欲しいものが手に入ってしまうからです。同じ理由から、お金だけではなく「もの」も与えすぎないようにすべきでしょう。親が与えすぎず「どうすれば欲しいものが手に入るのか」を考えさせることが大切なのです。
お金の話はオープンにする
子どもにお金の話は「してはいけない」という認識を持たせないことが目的です。家族間でお金の話し合いをするのは、お金について考える気持ちを養うチャンスです。例えば、家具や家電を買うときにどれを買うかを一緒に考えてみるのはよい教育になるでしょう。
お金を貯める方法を教える
ご自宅に貯金箱はありますでしょうか。なければぜひ準備してください。どのようなものでも構いません。
準備したら毎日定額を貯金箱に入れるようにしてください。貯金箱にお金を入れる姿を見せることで、子どもに「お金の貯め方」を教えることができます。
目標額が貯まったら、そのお金で子どもと一緒にお買いものをしてみてください。「頑張って貯めたお金」の価値を認識させられます。
まとめ
子どもに対する「お金の教育」に関してはまだノウハウが少ない状態です。ゆえに試行錯誤しながら進めていくことにはなるでしょう。しかしながら、生活に欠かせないお金のことを学ぶのは、健康について学ぶのと同じくらい重要です。
親がいくら資産を用意しても、使い方を誤れば一気にお金はなくなってしまいます。子どもに残すべきものはお金ではなく「お金の教育」ではないでしょうか。